人材確保等支援助成金(テレワークコース)とは?

厚生労働省が雇用保険の中で行っている助成金の一つに、人材確保等支援助成金があります。
人材の確保や育成につながる、魅力的で働きやすい職場作りを目指す取り組みを手助けしてくれます。

この人材確保等支援助成金に、令和3年4月から新しく「テレワークコース」が創設されました。
良質なテレワークの新規導入、実施を通して、労働者の人材確保や雇用管理改善等に取り組む中小企業事業主を対象とした制度です。

今回の記事では、人材確保等支援助成金(テレワークコース)について、その概要や助成額、申請手順についてご紹介します。

1.人材確保等支援金(テレワークコース)の概要


上述の通り、人材確保等支援金(テレワークコース)は、新たにテレワークを導入・実施し、人材の確保や雇用管理の改善等に取り組む中小企業を対象とした助成金です。

対象となる中小企業の範囲は、以下の通りです。

具体的にどのような取り組みや経費が対象となるのか確認しましょう。

1-2.人材確保等支援助成金(テレワークコース)の対象となる取り組みや経費は?

人材確保等支援金(テレワークコース)の助成対象となる取り組みは、次の5つが挙げられています。また対象となる経費は、これらの取り組みに係る経費のみと定められています。( )内はそれぞれの取り組みに対する助成金の上限額です。

  1. 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更(10万円)
  2. 外部専門家によるコンサルティング(30万円)
  3. テレワーク用通信機器の導入・運用(※)
  4. 労務管理担当者に対する研修(10万円)
  5. 労働者に対する研修(10万円)

※③のテレワーク用通信機器の導入・運用については、導入する機器ごとに助成の上限額が定められています。wi-fiなどのネットワーク機器(15万円)、 サーバ機器(50万円)、 NAS機器(10万円) 、セキュリティ機器(30万円)、ウェブ会議関係機器(1万円/対象労働者1人)、 サテライトオフィス利用料(30万円)

また、PC、タブレット、スマートフォン等の購入費用やレンタル費用は対象外とされていますので注意しましょう。この他にも、通信費や通信回線工事費、サテライトオフィスの賃料なども経費の対象外となります。気になる経費がある場合には、申請前に支給要領を確認しておきましょう。(「人材確保等支援金支給要領」)

1-3.人材確保等支援助成金(テレワークコース)の助成内容と助成額

人材確保等支援助成金(テレワークコース)の助成内容は、テレワーク機器の導入とその実績基準を満たした場合に支給される「機器等導入助成と、テレワークの実績や離職率の基準を満たした場合に追加で支給される「目標達成助成の2段階になっています。

それぞれの助成額の上限は100万円で、両方の支給内容を満たしている場合は、最大200万円を受け取ることができます。助成率と支給額は以下の通りです。


機器等導入助成と目標達成助成のそれぞれの内容についてみていきましょう。 

MEMO

生産性向上の要件とは、厚生労働省が、事業所における生産性向上を支援するために設定したものです。
生産性を向上させた事業所が、労働関係助成金(一部)を利用する場合に、助成額または助成率の割増をしてくれます。

主な条件
・その3年前に比べて6%以上生産性が向上していること。
・その3年前に比べて、1%以上6%未満生産性が向上し、かつ金融機関から一定の「事業性評価」を得ていること。

生産性の算出方法等は、下記サイトを参照してください。
厚生労働省:労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます

1-3-1.機器等導入助成

機器等導入助成では、次の措置をとることで、支給を受けることができます。

  1. テレワーク実施計画を作成し、管轄の労働局に提出してその認定を受ける。
  2. 計画認定日以降、機器等導入助成の支給申請日までに、テレワークに関する制度として、所定の内容を規定した労働協約又は就業規則を整備する。
  3. 1.の認定を受けたテレワーク実施計画に基づき、実際にその取組を実施すること。
  4. 評価期間(機器等導入助成)におけるテレワーク実施対象労働者のテレワーク実施状況が、以下の(1)または(2)の基準を満たすこと。
       (1)テレワーク実施対象労働者全員が1回以上テレワークを実施すること。
       (2)テレワーク実施対象労働者が、週平均1回以上テレワークを実施すること。

以上が、機器等導入助成の支給条件です。

1-3-2.目標達成助成

機器等導入助成の助成を受けた事業主が、以下の離職率やテレワーク実績の基準を満たした場合、目標達成助成を受けることができます

  1. 離職率に係る目標を達成する
     (1)テレワークに関する制度の整備の結果、評価時離職率が、計画時離職率以下であること。
     (2)評価時離職率が30%以下であること。
  2. 評価期間(機器等導入助成)開始日の1年後からの3か月間に行うテレワーク実績に係る目標を達成すること。

    評価期間(機器等導入助成)開始日の1年後からの3か月間に1回以上テレワークを実施した労働者数が、評価期間(機器等導入助成)開始日から1年を経過した日における対象事業所の労働者数に、計画認定時点における対象事業所の労働者全体に占めるテレワーク実施対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上であること。

離職率について…

「計画時離職率」とは、上の算式における「所定の期間」が、テレワーク実施計画提出日の12か月前の日の属する月の初日から当該計画提出日の属する月の前月末までの期間のもので、「評価時離職率」は、評価期間(機器等導入助成)の末日の翌日から起算して12か月を経過する日までの期間のものとされています。

1-3-3.評価期間とは?

人材等確保支援助成金(テレワークコース)の評価期間とは、助成金の支給にあたって、テレワーク勤務に関連する実績を評価する期間のことを指します。

評価期間(機器等導入助成)は、事業主がテレワーク実施計画の認定日(事業所管轄の労働局長が計画を認定した日)から起算して6か月が経過する日までの期間内で、任意に設定する連続する3か月間のことです。
評価期間(目標達成助成)は、評価期間(機器等導入助成)初日から1年を経過した日から起算した3か月間のことを指します。

2.人材確保等支援助成金(テレワークコース)の支給までの流れ


ここでは、人材確保等支援助成金(テレワークコース)の支給までの流れを確認しましょう。

① テレワーク実施計画の作成と提出
提出期限までに、テレワーク実施計画と添付書類一式を管轄労働局へ提出します。

提出期限は、テレワークを可能とする取組の実施予定日のうち最も早い日の1か月前の前日、または評価期間(機器等導入助成)開始予定日の1か月前の前日のいずれか早い日とされています。

例えば、テレワーク用通信機器の購入予定日がR3.9.15、評価期間(機器等導入助成)の開始予定日をR3.10.1に設定した場合、R3.9.15の1か月前の前日(R3.8.14)までに提出する必要があります。

② テレワーク実施計画の認定
管轄労働局にてテレワーク実施計画の内容の審査が行われます。問題がなければ計画が認定され、 「テレワーク実施計画認定通知書」によって事業主に通知されます。

③ テレワークを可能とする取り組みを実施
認定されたテレワーク実施計画に基づいて、計画認定日から起算して7か月以内に取り組みを実施します。

計画認定日以降、機器導入等助成の支給申請日までに、取組の実施(機器購入の場合は納品)、支払を終える必要があります

評価期間(機器等導入申請)内に、テレワーク対象者が、在宅またはサテライトオフィスにてテレワークを実施します。(1-3-1.機器等導入助成に挙げたテレワークの実施基準を満たす必要あり)

④ 機器等導入助成の支給申請
機器等導入助成の支給申請を、テレワーク実施計画認定日から起算して7か月以内に行います。

⑤ 評価期間(目標達成助成)において、テレワークを実施します。
評価期間(機器等導入助成)の初日から1年を経過した日から起算した3か月間(評価期間(目標達成助成))において、テレワークを実施します。
(1-3-2.目標達成助成に挙げた離職率とテレワークの実績の目標を達成)

⑥ 目標達成助成の支給申請
目標達成助成の支給申請を、評価期間(目標達成助成)の終了日の翌日から起算して1か月が経過する日までに、管轄労働局へ支給申請書を提出します。

以上が、人材等確保支援助成金の支給までの流れです。

機器等導入助成、目標達成助成ともに、支給申請を行った後は、管轄の労働局にて支給申請書および添付書類について審査が行われ、支給が認められると「支給決定通知書」をもって申請者に通知されます。

3.まとめ

今回は、人材確保等支援助成金(テレワークコース)について、概要や支給の条件、支給までの流れをご紹介しました。

助成内容は、機器導入助成と目標達成助成の2段階構成になっていて、それぞれに取り組みを実施する期間や目標が異なり少し複雑な印象を受けますが、条件を満たした上で取り組みを実施し、必要な書類を提出すれば、ほぼ支給されます。

ポストコロナに向けて、これからテレワークを導入しようとしている場合は、ぜひ利用したい制度ですね。

今回の記事が参考になれば幸いです。