高額療養費制度とは?どんな時に利用できる?

病気やケガで病院にかかった時、健康保険証を提示することで、医療機関での自己負担額は原則3割(小学生から70歳未満)になります。ですが、入院したりしてして治療が長引いた場合には、支払額が高額になってしまうこともありますね。

こんな風に、医療費が高額になってしまった時に利用できるのが、高額療養費制度です。高額療養費制度では、月間の医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合に、その超過分について申請を行うことで、払い戻しを受けることができます。

今回は、高額療養費制度について上限額や申請方法をご紹介します。

1.高額療養費制度とは?


高額療養費制度は、ひと月(1日から月末まで)に医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、自己負担の上限額を超えた場合に、その超えた金額分を支給してくれる制度です。

ひと月の上限額(自己負担限度額)は、年齢や所得によって異なります

1-2.自己負担限度額

高額療養費制度の自己負担限度額は、年齢(70歳未満と70歳以上)や所得状況によって、次の表のとおり設定されています。

〇70歳未満の方の区分

70歳以上の平成30年8月からの自己負担限度額は、次の通りです。
〇70歳以上の方の区分

以上が、自己限度額の計算式ですが、条件によってはさらに負担額を軽減することもできます。

1つ目が、「世帯合算」です。同一の世帯で、同じ医療保険に加入している方が、同じ月に医療費を支払った場合や、一人が複数回受診したり、一つの医療機関で入院と外来で受信した場合は、自己負担額を合算することができます

ただし、70歳未満の方は、21,000円以上の自己負担額についてのみ、合算可能とされています。
この場合、自己負担額は医療機関ごとの計算となります。同じ医療機関でも、医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来に分けて計算します。
また、医療機関からもらった処方せんにより調剤薬局で調剤を受けた場合には、薬局で支払った自己負担額は、処方せんを交付した医療機関に含めて計算します。

さらに、〔多数回該当〕の場合、さらに負担額が軽減されます。
過去12か月以内に3回以上、自己負担額限度額に達した場合には、4回目から自己負担限度額が下がる仕組みになっています。

例をあげて、自己負担限度額の計算はどのようになるのか見てみましょう。

【例】
1ヵ月に同一医療機関に支払った医療費の総医療費が100万円、自己負担額30万円。
年齢は70歳未満で、所得区分はウに該当する場合の自己負担限度額と高額療養費支給額は次のイメージのようになります。

自己負担限度額:
80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
高額療養費の支給額:
300,000円-87,430円=212,570円

※もしも、この月が多数回に該当する場合は、自己負担上限額は、44,400円となり、
高額療養費の支給は、255,600円となります。

次に、どのような医療費が高額療養費制度の対象となるのか確認しましょう。

2.高額療養費制度の対象となる医療費


高額療養費制度では、医療機関の窓口で支払う金額すべてが対象となるわけではありません。
対象となるのは、保険適用される診療に対してご自身が支払った自己負担額が対象となります。
入院時の食事代や差額ベッド代、全額自己負担となる自由診療や、先進医療にかかる費用などは対象外となります。

3.高額療養費の申請方法は?

ここでは、高額療養費の申請方法についてみていきます。
高額療養費は、基本的には、窓口で自己負担額を支払った後に申請して、自己負担限度額を超えた分について払い戻しを受けます。

ただし、入院などで医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」の申請を行うことで、窓口での支払いを自己負担限度額までにすることもできます。

まずは、事後に行う申請方法について確認しましょう。

2-1.事後に申請する場合

事後に申請する場合の手順についてみていきましょう。
70歳未満の方が事後に申請する場合は次のようになります。

窓口で医療費を支払った後、ご自身が加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ(全国健康保険協会)、共済組合、国民健康保険など)に高額療養費の支給申請書を提出、または郵送することで払い戻しを受けることができます。

また、公的医療保険によっては、医療機関等から提出された「診療報酬明細書(レセプト)」をもとに自動的に高額療養費の払い戻しを行ってくれることもあり、この場合は申請不要です。

申請に必要な書類は、公的医療保険によって異なる場合があります。病院などの領収書の添付が必要な場合もありますので、領収書はきちんと保管しておくと安心です
申請する際は、ご自身の加入する公的医療保険の窓口でしっかり確認しましょう。

MEMO

高額療養費の申請から支給までは、少なくとも3ヵ月前後かかると言われています。それまでの間、自己負担限度額を超えた部分を自分で立て替えなければなりません。医療費の支払いが困難なときには、無利息の「高額医療費貸付制度」 を利用できる場合があります。制度が利用できるかどうかなどは、ご自身の加入する公的医療保険に問合せてみましょう。

なお、高額療養費の申請期限は、診療を受けた月の翌月の初日から2年です。

2-2.事前に申請する場合(限度額適用認定)

事前に限度額適用認定を申請することで、窓口での支払額を、自己負担限度額までに抑えることができます。

70歳未満の方の限度額適用認定申請のイメージです。

限度額適用認定証を窓口で提示すると、自己負担限度額を超える部分の医療費を立て替える必要がありません。医療費がどのくらいかかるのか分からない場合でも申請することは可能ですので、念のため申請しておくと安心ですね。

70歳以上の方で、所得区分が「現役並みⅢ」と「一般」の方は、高齢受給者証の負担割合により、限度額が適用されるので、限度額適用認定の申請は不要です。その他の区分、「現役並みⅠ」、「現役並みⅡ」、市民税非課税世帯の方は申請する必要があります。

限度額適用認定は、ご自身の加入する公的医療機関に申請することで交付を受けることができます。基本的には、限度額適用認定の申請書に必要書類を添付して申請します。認定証の有効期限は、最長で1年です。

3.高額療養費のその他の制度

限度額認定証の交付が間に合わなかったり、思った以上に医療費がかかってしまい、支払いが困難になってしまったりした場合には、高額療養費貸付制度高額療養費受領委任払制度(国民健康保険)を利用することができます。

3-1.高額療養費貸付制度

高額療養費の払い戻しには、診療月から3ヵ月程度と時間がかかります。そのため、医療費の支払いに充てる資金として、高額療養費支給見込み額の一部を無利子で借りられるのが、高額療養費貸付制度です。

加入している公的医療保険によって異なりますが、協会けんぽでは、高額療養費支給見込み額の8割相当額までの貸し付けを受けることができます。

3-2.高額療養費受領委任払制度

上の貸付制度に似ているものに、高額療養費受領委任払制度があります。国民健康保険の場合に利用することができます。

この制度を利用することで、医療機関への支払いは自己負担限度額までになります。残りの高額療養費分は、公的医療保険から直接医療機関に支払うことになっています。
申請については、市区町村で異なる場合がありますので、高額療養費の窓口で確認しましょう。

4.まとめ

今回は、高額療養費制度について、概要や自己負担限度額、申請方法についてご紹介しました。

病気やケガで1度だけ医療機関を受診する分には、医療費はそれほどかからないかもしれませんが、長期の治療や入院などで、医療費の負担が大きくなる場合、自己負担の金額を軽減してくれる高額療養費制度はありがたいですね。

医療費が高額になることが分かっている場合には、限度額認定の適用を受けていると安心です。いくらかかるか分からないという場合にも申請することは可能です。

申請については、加入している公的医療保険によって、必要な書類等が異なる場合もありますので、しっかりと確認しましょう。

今回の記事が参考になれば幸いです。