助成金も補助金も、国や地方自治体から支給される返済不要のお金です。
どちらも国が支援する事業や取組みを行った企業に「後払い」で支給されるものです。
補助金や助成金にはたくさんの種類がありますので、自社の状況にあったものを選んで活用しましょう。
この記事では、補助金と助成金のそれぞれの特徴や違いについてご紹介したいと思います。
まずは、助成金とはどのようなものなのかについて見ていきましょう。
1.助成金とは?
助成金とは、主に厚生労働省が管轄する雇用に関する助成金を指します。
従業員の教育や正社員化、育児休業の活用、有給休暇の利用促進といった、労働環境を整えるために工夫したり、努力をした企業に対して支給されます。
代表的な助成金
キャリアアップ助成金
有期契約労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や賃金規定の改定などの一定の取組みを行った企業に対して支給されます。
人材開発支援助成金
自社で雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能の習得を目的とした職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
若年者への職業訓練、技能継承のための訓練などが含まれます。
また、労働関連の取組みを実施することにより、労働生産性が向上した企業に対しては、助成金の金額が割増されます。
助成金の申請
助成金は、支給要件を満たせば、原則として申請したほぼすべての企業が受け取ることができます。
申請は、随時受付していることが多いです。
支給額は多くても数百万円程度ではありますが、労働環境の改善のためにさまざまな努力を行うことは、今後の会社の成長には欠かせない大切なこと。
国の助けを借りてそれを行うことが出来るのであれば、利用しない手はありません。
雇用関係の助成金は、雇用保険の一部が主な財源です。
雇用保険に加入していれば、助成金の受給対象となります。
雇用保険に加入していない場合は対象外ですので注意が必要です。
また、社会情勢によって助成金の内容は変わったり、廃止されたりすることがあります。
いざ申請しようとしたら、条件が変わっていた、ということがないようにこまめに確認するようにしましょう。
では、次に補助金について見ていきましょう。
2.補助金とは?
補助金とは、主に経済産業省や自治体が管轄している交付金です。
ものづくりの促進、地域の活性化、中小企業の支援などを目的として実施されています。
補助を受けられるのは事業の全部、または一部です。
必ずしもすべての経費が交付されるものではありません。
事前に対象となる経費や補助の割合、上限額などを確認しましょう。
代表的な補助金
ものづくり補助金
正式名称は、「ものづくり・商業・サービス補助金」です。
生産性の向上を目的とした革新的サービスの開発や試作品の開発、生産プロセスの改善を行う中小企業・小規模事業者の設備投資等の一部を支援する制度です。
創業補助金
正式名称は、「地域創造的起業補助金」です。
新たな需要や雇用の創出等を促し、経済を活性化させることを目的に、新たに創業する者に対して創業に要する経費の一部を補助する制度です。
会社の設立費用や設備資金、人件費等が対象となります。
申請に際しては、産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者による認定特定創業支援事業の支援を受ける必要があります。
これから創業しようとしている人にとっては、国と地域が一緒になって創業をサポートしてくれるありがたい制度ですね。
補助金の申請
補助金は、助成金と違ってお金を受け取るためには、国や地方自治体の審査に通過する必要があります。
ただし、申請したとしてもすべての企業がお金を受け取ることができるとは限りません。
補助金によって異なりますが、申請には、その補助金の対象となる事業の内容に沿った事業計画書を提出する必要があります。
要件を満たしていればほぼ交付が決定する助成金と違い、補助金は、申請内容が制度の趣旨にあっているか厳しく審査され、採択されないこともあります。
また、公募期間も1~2ヶ月間と限られていることも多いです。
期間内であっても、採択件数や予算の上限に達した時点で応募が終了することがありますので、余裕を持って早めに応募することが望ましいでしょう。
3.助成金と補助金の違いとは?
上でもお伝えしましたが、助成金と補助金の大きな違いは、「審査があるかないか」という点です。
助成金は、支給要件を満たせば受け取ることができますが、補助金は政策に見合った事業計画が必要な上、審査に通らなければ受け取ることができません。
助成金は、審査がない代わりに、正しく行ったことを証明する書類が必要となります。
また、交付された後は、企業がきちんと申請した訓練を実施しているか、実際に制度を導入しているのか調査が入ります。
補助金についても、補助金が交付されたあと、会計検査院の調査が入る可能性もあります。
事業報告書の提出や証拠書類の保管等も義務付けられています。
助成金と補助金の違いをおおまかにまとめると、次の表のようになります。
|
助成金 |
補助金 |
交付元 |
国(厚生労働省)および地方自治体 |
国(経済産業省)および地方自治体 |
目的 |
雇用条件や労働環境の改善等 |
経済・地域の活性化等 |
受給条件 |
要件を満たし、法律を遵守していればほぼ受給できる |
要件を満たしていても、審査に通らなければ受給できない |
申請期間 |
随時、または長期間 |
年に1,2回(1~2ヶ月間) |
4.まとめ
今回は助成金と補助金について、それぞれの特徴や違いをご紹介しました。
助成金は、雇用条件や労働環境の向上を目的とした取組みを行った企業に対するご褒美のようなものですね。
補助金は、事業計画書の作成や審査があるため、思ったとおりに受け取ることは難しいかもしれません。
助成金も補助金も、受給が目的ではなく、受給した後の取組みが重要です。
国が支援する事業や取組みを行っているということは、会社経営にとってプラスの要素です。
また、融資と違って返済不要なのはありがたいですね。
自社の事業内容や労働環境等に見合った助成金・補助金を見つけてうまく活用しましょう。
助成金・補助金の内容は変更されることもありますので、情報収集を怠らないことが大切です。