経営力向上計画の申請手順とは?事前確認から申請までの流れをご紹介

経営力向上計画 申請

認定されると様々なメリットがある経営力向上計画。
実際には、どのような手順で申請すればよいのでしょうか。

まず、経営力向上計画を申請する際の様式はA4用紙2枚半~3枚で、記入内容は、①企業の概要②現状認識③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標④経営力向上の内容、などです。

様式は、中小企業庁のホームページからダウンロードすることが出来ます。
※正式名称は、「経営力向上計画に係る認定申請書」です。

この他に、税制措置を受けたい場合、金融支援を受けたい場合によって必要な書類や手順が異なります。

おおまかな流れとしては、

  • ①事前確認・準備
  • ②経営力向上計画の策定
  • ③経営力向上計画の申請

となります。

まずは、①事前確認・準備から見ていきましょう。
 
 

1.事前確認・準備

 
経営力向上計画 確認

 
経営力向上計画の認定を取得すると、税制措置金融支援を受けることができます。
それぞれの場合について、事前に確認しておきたいこと、準備することを見ていきましょう。
 
 

税制措置を受けたい場合

 
経営力向上計画が認定されると、2つの税制措置を受けることができます。

1つ目は、認定計画に基づいて取得した一定の設備について、固定資産税が3年間半額に減額されること(固定資産税の特例)。

2つ目は、法人税※1について、即時償却または取得価格の10%※2の税額控除を選択して適用できること(中小企業経営強化税制)。
※1 個人事業主の場合は所得税、※2資本金3000万超1億円以下の法人は7%
 

固定資産税の特例の場合

 

事前確認

 
固定資産税の特例の対象となるのは、次の①~③のいずれかの要件を満たしている事業者です。

  • ①資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
  • ②資本金もしくは出資金を有しない法人のうち、従業員数が1,000人以下の法人
  • ③従業員数が1,000人以下の個人

 

事前準備

 
税制措置を受ける場合には、経営力向上計画の申請時に工業会等の証明書が必要です。

そのため、計画の申請前に、購入予定の設備を生産した機器メーカー等に証明書の発行を依頼する必要があります。(各様式は中小企業庁のホームページからダウンロードできます。)

なお、証明書は申請してから発行されるまで数日~2ヶ月程度かかります。
事前に工業会等に確認するようにしましょう。

また、経営力向上設備等は、経営力向上計画の認定後に取得することが原則です。
何らかの事情で設備取得後に経営力向上計画を申請する場合には、設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要があります。

※この場合、税制の適用を受けるためには、固定資産税の賦課期日が毎年1月1日であることから、遅くとも当該設備を取得した年の12月31日までに認定を受ける必要があります(12月31日を越えて認定を受けた場合、減税の期間が2年間になります)。
 

中小企業経営強化税制の場合

 
経営力向上計画に基づいて新規取得した設備を用いて指定の事業を行った場合、設備投資にかかった費用を即時償却、または取得価額の10%を税額控除することができます(ただし、資本金3,000万超1億円以下の法人の場合は、取得価額の7%)。
 

事前確認

 
適用対象となるのは、次の①~④のいずれかに該当する事業者です。

  • ①資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
  • ②資本金もしくは出資金を有しない法人のうち、従業員数が1,000人以下の法人
  • ③従業員数が1,000人以下の個人
  • ④協同組合等

指定事業とは、次に挙げる事業を指します。

農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、建設業、製造業、ガス業、情報通信業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、郵便業、卸売業、小売業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

即時償却、または税額控除の適用を受けようとする場合には、取得する設備によって、生産性向上設備(A類型)または、収益力強化設備(B類型)を選択して申請する必要があります。
 

事前準備

 
「生産向上設備(A類型)」については、上に挙げた固定資産税の特例と同じ証明書(1枚)で申請することができます。
「収益力強化設備(B類型)」については、「投資計画の確認申請書」と「経済産業局の確認書」の2種類の書類が必要になります。

  • ①まずは「投資計画の確認申請書」を作成し、事前に公認会計士または税理士に確認してもらいます。
  • ②確認が済んだら、公認会計士または税理士から「事前確認書」が発行されます。
  • ③申請者は、「投資計画の確認申請書」、「事前確認書」、その他必要書類をあわせて、本社所在地を管轄する経済産業局に申請します。
  • ④経済産業局は、当該の申請書が経営力向上設備等の投資計画として適切と判断した場合に、「確認書」を発行します。なお、確認書は申請してから発行されるまで数日~1ヶ月程度かかりますので、余裕を持って申請するようにしましょう。

 

金融支援を受けようとする場合

 
次に、金融支援を受けようとする場合の事前確認・準備について見ていきましょう。
経営力向上計画が認定あれた場合に受けられる金融支援は次の7つです。

  • ①日本政策金融公庫による低利融資
  • ②商工中金による低利融資
  • ③中小企業信用保険法の特例
  • ④中小企業投資育成株式会社法の特例
  • ⑤日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
  • ⑥中小企業基盤整備機構による債務保証
  • ⑦食品流通構造改善促進機構による債務保証

 

事前準備

 
各種金融支援の活用を検討している場合には、計画申請前に関係機関に相談する必要があります。
 

適用対象の確認

 
適用対象となる事業者は、業種や規模によって多少異なります。
資本金10億円以下の会社または従業員数2,000人以下の会社および個人(中堅企業等)に適用されるのは、上の②、⑥、⑦の支援制度です。
中小企業者(表1)は、⑥以外の支援制度を受けることができます。

図表
 


 
以上が、経営力向上計画申請前の事前確認・準備です。

自社が適用の対象となっているのか、どのような書類や準備が必要なのかしっかり確認しましょう。
では次は、経営力向上計画の策定方法について見ていきます。
 
 

2.経営力向上計画の策定

 
経営力向上計画 策定

 
事前確認と準備が終わったら、次は経営力向上計画の策定です。

中小企業庁のホームページから申請様式をダウンロードして必要事項を記入していきます。
 
 

事業分野の確認

 
経営力向上計画は、各事業分野の主務大臣に向けて提出します。
まずは、自社の事業分野について確認しましょう。事業分野の確認は、e-Stat 政府統計の総合窓口「日本標準産業分類」で確認できます。

事業分野が確認できたら、提出先を確認します。
中小企業庁のホームページに「事業分野と提出先」のエクセルファイルがありますので、こちらで確認します。
申請書の宛名も記載されていますが、提出先や事業分野について不安な場合には、相談窓口に電話して確認しましょう。
 
 

事業分野別指針の確認

 
経営力向上計画に係る事業の属する事業分野(業種)によっては、事業分野を所管する省庁によって「事業分野別指針」が策定されています。

自社が経営力向上計画に取組む事業分野について、「事業分野別指針」が策定されている場合には、この指針を踏まえて経営力向上計画を策定する必要があります。

事業分野別指針が策定されていない事業分野については、「基本方針」に記載されている、「経営力向上の定義及び内容に関する事項」と「経営力向上の実施方法に関する事項」を踏まえて経営力向上計画を策定しましょう。
 
 

経営力向上計画の策定

 
経営力向上計画に係る認定申請書を作成します。

なお、平成30年7月9日以降の申請について、様式が新しくなりました。
2種類の申請書があり、事業継承に係る不動産取得税の軽減措置を希望する場合は新様式2で申請する必要があります。

それでは、記入する項目ごとに見ていきましょう。
 
 

項目① 名称等

 
経営力向上計画 名称等
自社の名称等必要事項を正確に記入しましょう。
法人番号については、個人事業主や組合等、法人番号がない場合は記載不要です。
 
 

項目② 事業分野と事業分野別指針名

 
事業分野と事業分野別指針名
 

事業分野

 
経営力向上計画に係る事業の属する事業分野の中分類(2桁)と細分類(4桁)のコードと項目名を記載します。
 

事業分野別指針名

 
計画に係る事業の属する分野で、事業分野別指針名が定められていない場合は記載不要です。
 
 

項目③ 実施時期

 
経営力向上計画 実施時期

計画開始の月から起算して、①3年(36ヶ月)、②4年(48ヶ月)、③5年(60ヶ月)のいずれかの期間を設定して記載します。
※計画の遡月申請は2ヶ月が限度です。
 
 

項目④ 現状認識

 
経営力向上計画 現状認識
 

1.自社の事業概要

 
自社の事業の内容について、概要を記載します。
事業分野別指針に規模別に取り組み内容などが指定されている場合には、自社がどの規模に該当するのかを明記します。
 

2.自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向

 
自社の商品・サービスについて、顧客の数やリピート率、主力取引先企業の推移などを記載しましょう。
また、市場の規模やシェア、競合他社との比較、顧客のニーズの動向等について分析し、自社の強み及び弱みを記載するようにします。
 

3.自社の経営状況

 
主に自社の財務状況について記載します。
売上高増加率、営業利益率、労働生産性、EBITDA有利子 負債倍率、営業運転資本回転期間、自己資本比率その他の財務情報の数値を参考にして分析し、改善すべき項目等について記載します。
 
 

項目⑤ 経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標

 
経営力向上計画 指標

「指標の種類」の欄には、事業分野別指針で定められた指標がある場合は、当該指標を記載します。
定められていない場合は、労働生産性と記載します。

なお、労働生産性は、次の計算式で求められます。

<労働生産性=(営業利益+人件費及び減価償却費)÷労働投入量>

※労働投入量は、労働者数又は労働者数×一人当たり年間就業時間

原則として「A現状」は計画開始直前の決算の実績、「B計画終了時の目標」は計画終了直前の決算(目標)を基に計算します。
 
 

項目⑥ 経営力向上の内容

 
経営力向上計画 内容

  • ●「(1)現に有する経営資源を利用する取組」と、「(2)他の事業者から取得した又は提供された経営資源を利用する取組」の欄は、それぞれ該当する取組の有無について「○」 で囲みます。
  • ●「(3)具体的な実施事項」の欄は、「4 現状認識」等に記載した内容を踏まえて具体的に記載します。
  • ●また、計画に係る事業の属する事業分野において事業分野別指針が定められている場合には、各実施事項について、当該事業分野別指針の該当箇所を記載するようにします。
  • ●事業承継等の種類について、中小企業等経営強化法第2条第10項第1号から第6号 まで並びに第8号及び第9号に掲げる措置のうち該当するものについて記載します。
  • ●実施事項が新事業活動にあたる場合は、「新事業活動への該非」の欄に「○」を記載しましょう。新事業活動とは、新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産方式又は販売方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動を指します。
  • ●項目数が足りない場合は、列を追加しましょう。
  • ●実施期間終了時に、記載された実施事項の実施状況及び目標の達成状況などの報告を求められる場合があります。

 

項目⑦ 経営力向上を実施するために必要な資金の額及びその調達方法

 
経営力向上計画 必要な資金
計画の実施に当たって必要な資金の額及びその使途・用途を記載します。

  • ●「実施事項」の欄には、「6 経営力向上の内容」の実施事項ア、イ、ウ等との関係性が分かるように対応する記号(ア、イ、ウ)を記載します。
  • ●同一の使途・用途であっても、複数の資金調達方法によって資金調達する場合には、資金調達方法ごとに項目を分けて記載します。
  • ●「資金調達方法」の欄には、自己資金、融資、補助金その他の資金の調達方法を記載します。
  • ●項目数が足りない場合は、列を追加しましょう。

 

項目⑧ 経営力向上設備等の種類

 
経営力向上設備等の種類
計画に基づき経営力向上設備等を取得する場合に記載します。

  • ●「実施事項」の欄には、「6 経営力向上の内容」の実施事項ア、イ、ウ等との関係性が分かるように、対応する記号(ア、イ、ウ)を記載します。
  • ●「利用を想定している支援措置」の欄には、申請段階において利用を想定している支援措置に○をします。
  • ●「所在地」の欄には、当該設備の設置予定地(都道府県名及び市町村)を記載します。
  • ●「設備等の種類」の欄には、機械及び装置、器具及び備品、工具、建物附属設備並びにソフトウエア等の減価償却資産の種類を記載します。
  • ●経営力向上設備等を取得する場合には、中小企業等経営強化法施行規則第8条に規定する要件に該当することを証する書類を添付し、「証明書等の文書番号等」の欄に、当該書類の名称又は文書番号等を記載します。
  • ●「設備等の種類別小計」の欄には、減価償却資産の種類ごとの小計値を記載します。
  • ●項目数が足りない場合は、列を追加するようにしましょう。

 

項目⑨ 特定許認可等に基づく被承継等中小企業者等の地位

 
特定許認可等に基づく被承継等中小企業者等の地位

  • ●特定許認可等に基づく被承継等中小企業者等の地位であって、承継等中小企業者等が承継しようとするものがある場合には、当該特定許認可等に基づく地位を記載します。
  • ●項目数が足りない場合は、列を追加しましょう。

 

項目⑩ 事業承継等により、譲受け又は取得する不動産の内容

 
経営力向上計画 事業承継

  • ●事業承継等に伴い不動産の譲受け又は取得を予定している場合には、当該不動産の内容について記載します。
  • ●「事業承継等の種類」の欄には、事業承継等の種類について、中小企業等経営強化法 第2条第10項第1号から第6号まで並びに第8号及び第9号に掲げる措置から記載します。
  • ●合併・分割に伴う不動産については、「事業又は資産の譲受け元名」の欄にその旨を記載するとともに、事業又は資産の譲受け元名を明記します。
  • ●項目数が足りない場合は、列を追加しましょう。

 
<新様式2のみ>
 

項目⑪ 事業又は資産の譲受けにより、譲受け又は取得する不動産の内容

 
新様式

  • ●事業又は資産の譲受けに伴う不動産については、「事業又は資産の譲受け元名」の欄にその旨を記載するとともに、事業又は資産の譲受け元名を明記します。
  • ●項目数が足りない場合は、列を追加しましょう。

 


 
以上で、経営力向上計画に係る認定申請書の記入は終了です。

認定申請書と必要書類がそろったら、いよいよ申請です。
 
 

3.経営力向上計画の申請

 
経営力向上計画に係る認定申請書と必要な添付書類がそろったら、該当する事業分野の提出先へ申請します。

事業分野ごとの提出先は、中小企業庁のホームページに詳しい情報が載っていますので、確認しましょう。
申請は、該当する事業分野の窓口への提出、または郵送で申請します。
経済産業省が窓口の場合は、電子申請が可能です。

計画を申請してから認定されるまでの標準処理期間は30日です。
ただし、計画に記載された事業分野が複数の省庁や所管にまたがる場合には45日とされています。

申請に不備がある場合は、照会や差し戻し等が発生し、手続きが長引く恐れがありますので、余裕をもって申請しましょう。
 
 

4.まとめ

 
今回は、経営力向上計画の実際の申請手続きの手順についてご紹介しました。

受けようとする税制措置によって、必要書類が違いますので、事前にしっかり確認しましょう。

中小企業庁のホームページには、それぞれの手引書が載っていますので、こちらもしっかり確認してから認定申請書の策定に取り掛かるようにしてくださいね。