雇用調整助成金(コロナ特例)の概要や助成率、申請方法は?

雇用調整助成金とは、事業主が労働者に対して休業手当等を支払う場合に、その一部を国が助成してくれる制度です。

新型コロナウイルス感染症の影響により、失業やリストラなどが問題となる中、雇用調整助成金では、特例を設け助成内容を拡充し、助成率と上限額の引き上げが実施されています。
また、令和2年9月30日までだった特例措置の申請期限が、令和2年12月31日までに延長されています。

今回は、雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例について、概要や助成率、申請方法をご紹介します。

まずは、制度の概要について確認しておきましょう。

1.雇用調整助成金 新型コロナ特例の概要


雇用調整助成金の特例では、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、労働者に対して支払う休業手当等の金額の一部が助成されます。労働者を出向させるなどして雇用を維持した場合も対象です。

特例措置の助成率では、解雇等を行わず雇用を維持した場合、中小企業では助成率が10/10となっており、支払った休業手当の全額が助成されることになっています。
(※1人1日あたり15,000円までという上限金額が設けられています)

次は、助成金の支給対象となる事業主や、どのような休業が対象となるのかについてみていきます。

1-2.雇用調整助成金(新型コロナ特例)の支給対象となる事業主とは?

新型コロナ特例では、次の条件を満たす、全ての業種の事業主が対象となります。

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
  2. 例えば、観光客のキャンセルが相次いで売り上げが減少したり、市民活動の自粛によって売り上げが減少した場合などです。

  3. 最近1ヵ月間の売上高または生産量などが、前年同月比5%以上減少している
  4. 前年同月と比較できない場合は、2年前の同じ月との比較も可能。また、1年前や2年前の同じ月と比較しても要件を満たさない場合には、休業した月の1年前の同じ月から休業した月の前月までの間の適当な1ヵ月との比較も可能です。

  5. 労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
  6. 休業の実施時期や日数、対象者、休業手当の支払い率などについて、事前に労使との間で書面による協定がなされ、その決定に沿って実施することが要件です。

以上が、雇用調整助成金(新型コロナ特例)の支給対象となる事業主の要件です。
次に、助成の対象となる労働者や休業について確認します。

1-3.雇用調整助成金(新型コロナ特例)の対象となる労働者や休業は?


雇用調整助成金(新型コロナ特例)の対象となる労働者は、上に挙げた対象となる事業主に雇用されている、雇用保険被保険者です。

これに加えて、新型コロナ特例では、パートやアルバイトなど、雇用保険に入っていない労働者に対する休業手当も助成の対象となります。この場合は、「緊急雇用安定助成金」から助成を受けることができます。助成内容や申請先は雇用調整助成金と同じです。

これらの対象労働者に対して実施する、以下の要件を満たす「休業」について、助成金の支給対象となります。

<支給対象となる休業>
①労使間の協定によって実施されるもの
②事業主が自ら指定する対象期間内(1年間)に実施されるもの
③判定基礎期間※における対象労働者に係る休業の実施日の延日数が、対象労働者の所定労働述日数の40分の1(大企業の場合は30分の1)以上となるもの(休業等規模要件)
④休業期間中の休業手当の額が、労働基準法第26条の規定(平均6割以上)に違反していないこと(休業手当の額は、平均賃金の6割以上とする必要があります)
⑤所定労働日の所定労働時間内において実施されるもの
⑥所定労働日の全日(丸一日)にわたる休業、または所定労働時間内に部署・部門や職種、役職、担当、勤務体制、シフトなどにより実施される1時間以上の短時間休業、または事業所一斉に実施される1時間以上の短時間休業であること

判定基礎期間とは、②の対象期間内において、休業の実績を判定する1ヵ月単位の期間のことを指します。原則として、毎月の賃金の締め切り日の翌日から、その次の締め切り日までの期間とされています。

以上が、助成金の対象となる労働者と休業の要件です。
新型コロナ特例では、雇用保険被保険者以外の労働者も対象となっているのが特徴ですね。

次は、どの程度の金額が助成されるのか、助成額についてみていきましょう。

1-4.雇用調整助成金(新型コロナ特例)の助成額や助成率は?

雇用調整助成金(新型コロナ特例)の助成額は、次の計算式で算出されます。

(平均賃金額(※) × 休業手当等の支払率)× 下表の助成率

1人1日当たりの支給上限額は、15,000円です。

※平均賃金額の算定について、小規模の事業所(概ね20人以下)については、簡略化する特別措置が実施されています。

雇用調整助成金(新型コロナ特例)の助成率は、次の表のとおりです。

※1 中小企業とは、以下の要件を満たす企業とされています。
  ・小売業(飲食店を含む): 資本金5,000 万円以下 または従業員 50 人以下
  ・サービス業: 資本金5,000 万円以下 または従業員 100 人以下
  ・卸売業: 資本金1億円以下 または従業員 100 人以下
  ・その他の業種: 資本金3億円以下 または従業員 300 人以下

次に、支給申請に必要な書類を見ていきましょう。

1-5.雇用調整助成金(新型コロナ特例)支給申請に必要な書類とは?

雇用調整助成金(新型コロナ特例)では、特に影響を受けやすい小規模事業者(従業員が概ね20人以下)について、支給申請が簡略化されています。
ここでは、小規模事業者の方の必要書類をもとに、支給申請についてみていきます。

<小規模事業者の場合の必要書類>雇用保険被保険者の休業用

※教育訓練を実施した場合には、上記の書類以外にも、教育訓練を受講したことを証明する書類や、教育訓練内容が分かる資料などを添付する必要があります。該当する場合はしっかり確認しましょう。

  • 支給申請書類(様式新特小第1号、2号、3号)
  • 厚生労働省のHPよりダウンロードできます。休業した人の氏名や休業した日数、休業手当の金額などを記入します。エクセルファイルも用意されており、この場合は金額や日数などを入力すると自動的に計算されます。

  • 比較した月の売上などがわかる書類
  • 休業した月と1年前の同じ月の2か月分について、それぞれ売上等を記した書類が必要となっています。 1年前が対象にならない場合は、2年前の同じ月との比較も可能とされています。
    具体的な書類としては、売上簿やレジの月次集計とされています。

  • 休業させた日や時間がわかる書類
  • 休業手当を支給した従業員のタイムカードや出勤簿、シフト表など、休業した日やその時間がわかる書類を提出します。

  • 休業手当や賃金の額がわかる書類
  • 休業手当を支給した従業員の、給与明細の写しや賃金台帳など、休業手当の金額がわかる書類を提出します。

  • 役員名簿
  • 役員の氏名や役職、生年月日などを記入した書類です。
    ※ 事業主本人以外に役員がいない場合及び個人事業主 の場合は、提出不要です。
    厚労省の雇用調整助成金の様式ダウンロードのページに、様式例があります。
    作成の際に参考すると良いでしょう。

  • 通帳コピー
  • 必須ではありませんが、振り込み間違いを防ぐために、通帳やキャッシュカードのコピー(口座番号やフリガナを確認できる部分)の提出が推奨されています。

以上が、小規模事業者の方が支給申請を行う際の基本的な必要書類です。

通常の雇用調整助成金では、休業を実施する前に計画届を提出し、休業を実施して休業手当を支払った後に助成金の支給申請を行いますが、特例措置では、令和2年5月19日以降から行う支給申請については、計画届が不要となりました

1-6.雇用調整助成金(新型コロナ特例)の提出先や申請期限は?

雇用調整助成金(新型コロナ特例)の申請期限は、支給対象期間の末日の翌日から2カ月以内です。
例えば、10月に休業した分については、12月末までに支給申請を行う必要があります。

また、提出先は、事業所を管轄する労働局・ハローワークです。
提出方法は、窓口、郵送、オンラインのいずれかを選ぶことができます。
必要書類を準備して、申請期限までに手続きをすませるようにしましょう。

支給申請が受理されたら、労働局・ハローワークの審査を経て、助成金が支給されます(1か月前後)。

以上が、雇用調整助成金(新型コロナ特例)の申請方法です。

まとめ

今回は、雇用調整助成金(新型コロナ特例)について、制度の概要や助成率、支給申請に必要な書類等についてご紹介しました。

新型コロナ特例で特徴的なのが、雇用保険被保険者以外の従業員に休業手当を支払った場合にも対象となること、解雇等を行わず雇用を維持した場合、中小企業の助成率が10/10(100%)であること、休業に関する計画届の提出が不要なこと(令和2年5月19日以降)でしょうか。

売上減少の影響を受けやすい小規模事業者や中小企業にとっては、申請しやすい助成金といえます。条件に該当する場合は、積極的に利用したい制度です。

厚労省のHPには、支給申請に必要な書類のファイルや、申請マニュアルが掲載されています。しっかり確認して申請をすすめましょう。

今回の記事が参考になれば幸いです。